井上井月

いのうえ せいげつ

江戸時代・明治時代 (1822年 - 1887年)

生涯略歴

井上井月は江戸時代末期から明治時代初期の俳人で、放浪の俳人として知られています。本名は井上春雄。信濃国伊那谷を中心に放浪生活を送りながら俳句を詠み続けました。乞食同然の生活を送りながらも、自然と一体となった境地から生まれる素朴で深遠な俳句を残しました。

代表俳句

今日もまた心の鉦を叩いて歩く

Kyō mo mata kokoro no kane wo tataite aruku

今日もまた心の鉦を叩いて歩く

梅咲いて庭中に青鮫が来ている

Ume saite niwajū ni aozame ga kite iru

梅咲いて庭中に青鮫が来ている

春の句

足音を盗んで雪の夜に入る

Ashioto wo nusunde yuki no yo ni hairu

足音を盗んで雪の夜に入る

冬の句

主要業績

1

放浪俳人の先駆者

2

民衆の中での俳句創作

3

自然と一体化した境地の表現

4

後の自由律俳人への影響

創作スタイル

井月の俳句は放浪生活から生まれる自由で率直な表現を特色とし、社会の底辺からの視点で人生と自然を詠みます。形式にとらわれない素朴で力強い表現で、生きることの本質を追求しました。

文学史への影響

井月は放浪俳人の先駆者として、後の種田山頭火や尾崎放哉などの自由律俳人に大きな影響を与えました。社会の枠にとらわれない自由な生き方と俳句創作の在り方を示しています。